管理業務の運営を左右する管理費の滞納への解決策とポイント

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管理費を滞納する住人がいる。払ってもらいたい

管理業務の費用である管理費の滞納は、組合の運営そのものに大きく影響します。また、ほかの組合員の方との公平性を守るためにも早急に解決したい問題です。
滞納管理費の請求に応じない場合は、法的手続きを行うことができます。ただし、徴収する際は法律に則った手順を踏んでください。法律を超えた強制的な徴収は不法行為とされ、慰謝料などの損害賠償を請求されかねません。請求の際には十分注意しましょう。

解決策

滞納した組合員に対しては法的手続きが可能

まずは内容証明郵便を利用し、支払いを請求します。それでも支払いに応じないようであれば、法律に則った請求が可能です。
主な請求の方法は以下の3種類です。

(1)支払い督促

迅速で費用も安いため、利用しやすい手段です。
債権者の一方的な申し立てに基づいて行い、滞納者は2週間以内であれば異議を申し立てることができます。2週間を経過しても異議の申し立てがなければ、仮執行宣言の申し立てをして強制執行に移ることができます。

(2)少額訴訟

利用回数の制限はありますが、簡易で迅速な裁判手続きです。扱うことができる金額は60万円まで、審理が1回のみで終わる(特別な事情がある場合は例外)、同一の原告が同一の簡易裁判所に対して年間10回までの回数制限があるなどの特徴があります。

(3)先取特権

先取特権とは、法律で定められた債権について債務者の財産などから優先的に弁済を受けることができる権利です。管理者は管理費の請求について先取特権を有しています(建物の区分所有等に関する法律第7条)。そのため、裁判を起こさなくともただちにマンションの区分所有権を差し押さえることができます。

ポイント

区分所有者がその区分所有権を第三者に売却した場合、その区分所有権を獲得した者に対しても管理費の請求が可能です。ただし、残代金支払いのときなどに売買代金のなかで清算し、買主に負担がかからないように段取りをするケースがほとんどです。
近年では、滞納管理費の消滅時効は一般の債権と同様に10年間であるという考え方が一般的なようです。ただし、マンションの管理費の請求権は「定期給付債権」とみなされ、5年で時効消滅するとされた判例もあります。

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