マンションを建替えが必要なのは物理的、機能的、社会的な問題が理由

これで円滑!マンション建替えガイド

長く住み続けてきたマンションが古くなってきたら

愛着があるマンションでも、長く住み続けるとさまざまな問題が発生してきます。その問題が大きくなり何らかの対策を練らなければいけない場合、「マンションを修繕する(改修する)」か「マンションの建替えをする」という解決策があります。
一般的にはマンション修繕のほうが安いコストで済み、マンション住民が一時引っ越しをするなどの手間もかかりません。

しかし、修繕や改修で解決できないほど問題が大きい、根本的な解決が必要な場合、修繕箇所があまりに増えすぎてしまい建替えを行ったほうが安いコストで済むような場合には、「マンションの建替え」を行うことになります。

マンション建替えの主な理由

マンションの建替えをしなければならない理由は、以下の3つに大別されます。ただし、建替えが単一の理由により行われることは稀で、ここで挙げた3つの理由が密接に関わり、総合的に建替えを決断するケースがほとんどです。

物理的な劣化

「コンクリートの劣化が進んで崩れ落ちる可能性がある」「排水管が古くなり水漏れが起こる」というような、建物の性能自体に対する問題です。軽度な場合は、外壁の補修や防水舗装など、修繕により解決することもあります。

社会的な劣化

「専有面積が狭い」「外観のデザインが古い」など、マンション建設当時より生活様式が変わってしまい、現代にそぐわなくなってしまう問題です。結果、「古くさいマンション」と評価されてしまい資産価値が低下、また住民が別のマンションへ引っ越してしまう、空き物件に入居者が入りづらいという問題も起こります。

機能的な劣化

「旧基準で建設しているため耐震性に不安がある」「インターネット環境が整っていない」「エレベーターがない」というような、設備が整っていない問題です。

建替えの前に的確な時期に修繕を行い、マンションの寿命を延ばすことは資産価値を保つために大切なことです。
しかし、修繕や改修ではカバーできない建物の劣化や住宅設備の陳腐化が進むと、空室率はさらに上がっていくでしょう。また、建替え時期を逃してしまうとさらに空き物件は増え、また建替えができなくなるという悪循環になることも考えられます。

建替えに伴う問題

いざマンションを建替えようとしてもさまざまな無視できない問題が発生します。マンションを建替えると部屋が狭くなってしまう、階数や部屋の位置が変わる、建替えにより発生する一時金を払わなくてはならないなど、従来の環境を維持できない、住民ひとりひとりの負担が増えるということがあるからです。

マンションの建替えは全国で約80事例が知られていますが(震災の影響による被災マンションの再建を除く)、高層化などで建替える前よりマンション規模が大きくなったケースがほとんどです。新しくできたスペースには新たな入居者が入りますので、その販売費用で建設費を賄うことが可能になり、住民の自己負担はほとんど発生しませんでした。

しかし、現在マンションの建替えを行う場合、こういった好条件で建替えが行われることは稀です。一般的には建設当時許可されていた階数が法律改正により減っているケースのほうが多いため、建替えを行うと一人あたりの専有面積が減る、すべての住民が建替え後のマンションに入ることができない、住民による一時金の負担が発生するといった、建替えによる住民の負担が大きくなってしまうからです。
このような状況が背景にあるため、「マンションの建替え」は簡単なことではありません。すべての住人に納得してもらい、よりよい生活ができるようにするためには、専門家の協力や住人の話し合いをしっかり行うことが不可欠です。

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