権利変換計画の策定について

これで円滑!マンション建替えガイド

権利変換計画の策定

権利変換計画とは権利関係にまつわる計画で、旧マンションの区分所有者や権利などが新マンションにどう移行するかを定めています。この権利変換計画を行うためにも、さまざまな検討や手続きを行わなくてはなりません。

権利変換手続き開始の登記を行う

建替組合は、マンション建替え円滑化法第55条「権利変換手続開始の登記」にのっとり、権利変換を行う際には「マンションの権利について権利変換手続きを開始する」という旨の手続きを登記所に行います。

権利変換を希望しない場合の申し出について

建替え参加の意思表示をしている区分所有者でも、その後建替えへ参加することをやめる者が発生する可能性があります。この場合、マンション建替え円滑化法第56条「権利変換を希望しない旨の申出等」に基づき、旧マンションの区分所有権や敷地利用権を持つ者は「建替組合の設立認可の公告から30日以内であれば、権利変換を希望せず、自己の有する区分所有権又は敷地利用権に代えて金銭の給付を希望する旨を申し出ることができる」とされています。

権利変換計画を検討する

マンション建替え円滑化法第58条「権利変換計画の内容」に基づき、以下の項目を検討し、定める必要があります。

(1) 新マンションの配置設計
(2) 旧マンションの区分所有権または敷地所有権を持っているもので、当該権利に対応して新マンションの区分所有権または敷地所有権を与えられることになるものの氏名(名称)、住所
(3) (2)の者が、旧マンションについて有している区分所有権または敷地所有権とその価額
(4) (2)のものが(3)に掲げる区分所有権または敷地利用権に対応して与えられることになる新マンションの区分所有権または敷地利用権の明細と価額の概算額
(5) (3)のものが掲げる区分所有権または敷地利用権について先取特権、質権もしくは抵当権の登記、仮登記、買い戻しの特約そのほかの権利の消滅に関する事項の定めの登記、または処分の制限の登記に関わる権利を持っている者の氏名(名称)と住所、ならびにその権利
(6) (5)に掲げる者が新マンションの区分所有権または敷地利用権の上に有することになる権利
(7) 旧マンションの借地権を持っている者で、新マンションに借地権を与えられる者の氏名(名称)と住所
(8) (7)に掲げる者に借地権が与えられることになる新マンションの部分
(9) 施工者が新マンションの部分を賃貸する場合、標準家賃の概算額および家賃以外の借家条件
(10) 旧マンションに関する権利、またはその敷地利用権を持っているもので、権利変換期日において権利を失い、かつ当該権利に対応して新マンションに関わる権利または敷地利用権を与えられない者の氏名(名称)と住所、失われる旧マンションに関する権利または敷地所有権とその価額
(11) 隣接施工敷地の所有権または借地権を持っている者で、権利変換期日において権利を失い、または当該権利の上に敷地利用権が設定されることとなる者の氏名(名称)と住所、その権利、価額(減価額)
(12) 組合の参加組合員に与えられる新マンションの区分所有権および敷地利用権の明細、ならびにその参加組合員の氏名(名称)と住所
(13) (4)または(12)に掲げる者のほか、新マンションの区分所有権または敷地利用権の明細、その帰属と処分の方法
(14) 旧マンションの敷地だった土地で新マンションの敷地にならない土地の所有権または借地権の明細、その帰属と処分の方法
(15) 保証金の支払いまたは清算金の徴収に係る利子、またはその決定方法
(16) 権利変換期日と旧マンションの明渡し予定時期、および工事完了の予定時期
(17) 権利変換期日において権利を失う者に対する保証金の支払方法と支払期日
(18) 新マンションの区分所有権を与えられる者に、与えられる新マンションの共有部分の持分

住戸の位置決め

新マンションにおける住居の位置決め(住戸選定)はもっともトラブルになりやすい事項の1つです。計画段階で考えていた位置決めが、住戸の広さやタイプを調整していく中でまったく違った結果となることがあるからです。

住戸の位置決めについては建替え決議を行う際に定めることが必要ですので、建替え決議の合意形成を図る中で区分所有者の希望を把握しておきましょう。権利変換計画の策定時点では各人の要望を反映できるよう、また公平な手続きが行えるよう配慮して計画を作成することが大切です。

審査委員の同意

権利変換計画を定めるには、マンション建替え円滑化法第67条「審査委員の関与」に基づき、審査委員の過半数の同意を得る必要があります。

権利変換計画についての同意

権利変換計画は組合員の賛成と組合員以外の権利者の同意を得る必要があります。

組合員の5分の4以上の同意と反対者に対する売渡要求

権利変換計画は、総会における組合員の議決権および持分割合の各5分の4以上の賛成で決します。ただし、新マンションの住戸位置などに不満を持つ区分所有者がいる場合、権利変換計画の議決に賛成しない組合員が出ることも考えられます。
そのため、マンション建替え円滑化法第64条「権利変換計画に関する総会の議決に賛成しなかった組合員に対する売渡し請求等」において、権利変換計画の議決に賛成しなかった組合員に対し、議決から2カ月以内に区分所有権および敷地所有権を時価で買い取ることが要求できることを認めています。

また、権利変換計画の議決に参加しない組合員に与えられたはずの権利を誰が取得するかについても定めておかなくてはなりません。

建替組合員以外の権利者の同意

建替組合員以外で旧マンションまたは敷地の権利を持っている者に対しても、マンション建替え円滑化法第57条「権利変換計画の決定及び認可」にのっとり、権利変換計画について同意を得なくてはなりません。

建替組合委員以外空の所定の同意は、原則としてその全員の合意を得る必要があります。なお、権利変換計画の同意が得られなかった場合、その理由が正当なものであり、同意を得られないものの権利に関して損害を与えないための適切な措置がなされている場合は、理由などを記載した書面を添えて都道府県知事の認可を申請することができます。

隣接地を含めた建替えにおける同意の範囲

隣接地を含めた建替えを行う場合は、建替組合は権利変換計画について新マンションの敷地となる隣接地の権利を持っている者の同意を得なくてはいけません

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