建替えの検討提起と、管理組合の合意について

これで円滑!マンション建替えガイド

建替えの検討の提起と管理組合としての検討の合意

建替えの勉強会で情報収集などを行い、成果が出てきたら「管理組合として建替えを正式に検討してみてはどうか」という問題提起を管理組合理事会に対して行います。

理事会が「管理組合として建替えを検討することの必要性」を認めた場合、管理組合の集会における議案として、検討組織の設置や活動費用の捻出について提起します。この集会においてマンション建替えを検討する必要性が議決されれば、管理組合として建替えを検討する段階へ進みます。

勉強会から理事会への建替えの提起

勉強会は有志による人員が集まった任意の組織のため、管理組合に対して議案の発議権がありません。そのため、集会の招集権を持っている管理組合の理事会に対し、勉強会の成果を示して建替えの検討を行う必要性があるということを説明して理解を得ることが大切です。

ただし、勉強会の成果が不十分な場合は、問題提起を行っても理解を得られないこともあります。
勉強会の成果としては、以下のような事項について整理しておき、理解に努めるとよいでしょう。

  • 現在のマンションの状況と住宅や住環境に関する不満点や問題点
  • マンションの建替えが必要な理由と、新マンションのイメージ
  • 建替え以外の大規模修繕や改修による問題改善の可能性
  • 建替えの進め方、予想される課題とその解決方法

理事会から管理組合集会への議案の提起

勉強会から「管理組合として建替えの検討を行うべきではないか」という提起を受けて、理事会で「管理組合としてマンション建替えを検討する必要性」が認められたときは、理事会が建替えの検討についての議案を取りまとめ、管理組合の集会を招集します。

この集会は年次集会(総会)の議案として取り上げられるケースが一般的です。
管理組合として建替えの検討を行うことについて集会の議事として提起し、議決を受ける必要がある事項は、組織の設置と資金の拠出についてが主となります。

検討組織の設置について

建替え構想や建替えの必要性などを検討する組織は、理事会の諮問機関として設置されることが一般的です。この場合、管理組合の集会における「普通決議」により、「区分所有者および議決権」の過半数で議決することになります。
この「普通集会」と「区分所有はおよび議決権」は、区分所有法第39条「議事」および「議決権」で定められています。

検討組織の設置にあたっては、組織の活動内容や役割、メンバーの構成や組織の権限、活動費用の拠出などに関する事項を明確にしておきましょう。

検討組織の名称

検討組織の設置が決まったら、適切な名称を付けましょう。これまでの事例では「○○マンションの将来を考える会」、「◯◯マンション生活改善委員会」、「◯◯マンションリフレッシュ委員会」、「◯◯マンション老朽化対策委員会」、「○○マンション改善問題検討委員会」、「○○マンション建替え準備委員会」、「○○マンション建替え・修繕検討委員会」などの名称が用いられています。

検討資金の拠出について

検討資金の拠出については、維持管理のために徴収されている管理組合予算を建替え検討のために利用することができるかどうかが問われます。この点について区分所有法では、「建替え決議に際しては建物の設計の概要や建替え費用の概算額などを定める」としていることから、広義の意味では管理組合活動であるとされています。
そのため「建替え決議に向けた計画検討のために必要な費用」も管理組合予算から支出するケースがほとんどです。

管理組合予算から拠出する場合は「マンション管理費から拠出する場合」と「修繕積立金から拠出する場合」があります。マンション管理費から拠出する場合は、管理費の執行に関する決議を区分所有法39条「議事」で定められている「普通決議」により過半数の議決を得て決定されます。

一方、修繕積立金から拠出する場合は少し話が複雑になります。修繕積立金はそもそも、建物の存続を前提とした修繕のために積み立てられている資金です。この資金を建替えのための調査検討に使用する場合には、管理規約の変更が必要となる場合があります。

なお、修繕積立金を使用できる管理規約になっている場合でも、修繕積立金を取り崩すためには集会において区分所有者および議決権の各4分の3以上の特別決議が必要です。

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