長期修繕計画にはしっかりとした計画・準備が必要

これで成功!大規模修繕徹底ガイド

長期修繕計画の必要性

一戸立て住宅であれば、建物の規模もそれほど大きくなく、所有者の意思によって都合のよいタイミングで修繕可能ですが、マンションの場合は、規模が大きく、部材・設備も多様。そのため、スムーズな修繕を行うには計画が重要となります。

住民の協力を得るためにも計画が必要

マンションでは多くの住民が生活しており、考え方や財力も多様です。突然、「修繕をやります」といった場合、「まだ修繕の必要はないと思う。賛成できない」「お金がないからやめてほしい」といった意見が挙がることは十分に考えられます。そのようなことを減らすためには、長期的な修繕計画を作成し、住民間の意思統一を図ることが大切。修繕箇所と概算費用を住民に前もって周知しておくことで、修繕実施時に住民の理解を得やすくなります。

長期修繕計画をつくることで生まれるメリット

長期修繕計画を作成することで生まれるメリットがあります。先に述べた、「修繕実施時に住民の理解を得やすくなる」もその一つ。それ以外に、修繕計画を住民に周知することで生まれる「住民のマンション管理意識の向上」もあります。
大規模修繕を行うのは共用部分ですが、中には給排水管のように、専有部分と共用部分を一緒に修繕する場合も。住民は、自らの場である専有部分には気を使っても、共同で使用する共用部分については、専有部分ほど気を使うことがなく、維持や管理がおろそかになることが多いものです。長期的な修繕計画を立て、住 民に周知することで、気に留めることが少なかった共用部分の使い方や管理について、住民の中に管理意識が芽生えます。細かい部分の不具合に気付くことが増え、その対処も早くなるため、マンションの資産価値の維持にもつながります。

計画の中でマンションの建替え時期も明確にしておく

通常、長期修繕計画は20~25年ほどの期間で定めますが、マンションが存在し続ける限り、修繕に終わりはありません。そこで、マンションの建替え時期についても早い段階で決めておくことが大切になります。建替えの時期が決まっていれば、時期が迫った際に大きな費用がかかる修繕ではなく、最低限の対処を行う「延命」で建替え実行までマンションの状態を保つことも可能です。また、マンションを建替える上で一番多い「建替え資金の調達が困難」という問題を解決できる可能性も高まります。

下のグラフは、解体時期を築70年程度に設定した場合のものです。

マンションの将来の人口推移例(構成比)

※平成20年度 埼玉県人口調査データの30~55歳の人口推移から算出(住み替えを考慮しない)。

築15年経過したころから年金生活を開始する住民が増え始め、築35年経過すると初期の入居者全員が年金生活者となります。あらかじめ建替え時期を設定しておけば、資金計画が立てやすく、建替えにかかる資金不足問題の発生率を低く抑えられます。
住民全員が長い期間にわたって不安なくマンション生活を送れるよう、修繕計画はスタートとゴールをしっかりと設定して作成しましょう。

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