給水、給湯、雑排水、汚水、通気管などの配管設備についてご紹介

これで成功!大規模修繕徹底ガイド

配管設備

給水配管

マンションの給水配管設備のうち、貯水槽(受水槽)→給水ポンプ→(高架水槽)→水道メータ-→室内の各水廻りの蛇口をつなぐものが、給水配管になります。
このうち、水道メーターより「上手」部分(貯水槽(受水槽)→給水ポンプ→(高架水槽)→水道メータ-)が共用部分、水道メーターより「下手」部分(メータ-→室内の各水廻りの蛇口)が専有部分です。
最近まで専有部分の給水配管は管理組合の管理対象外と考えることが主流でしたが、改正された標準管理規約(21条2項)で、専有部内についても管理組合の工事の対象とすることができるようになり、管理組合の修繕工事として実施されるケースが増えているようです。
配管の材料としては、昭和50年前後に建物の給水管の赤水問題が社会問題化したのち、専有部給水配管としては、水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)から水道用硬質塩化ビニールライニング鋼管(SGP-VA・SGP-VB)に、そして、水道用ステンレス管(SUS)、水道用硬質塩化ビニール管(HIVP)、あるいは、水道用架橋ポリエチレン管(PE)また水道用架橋ポリブデン管(PB)へと変化し、現在の新築のマンションでは架橋ポリエチレン管(PE)また水道用架橋ポリブデン管(PB)を使用することが主流となっています。
共用部給水管は、主に建物内給水竪管及び敷地内埋設給水配管です。共用部給水管の配管材料としては、亜鉛めっき鋼管(SGP)から水道用硬質塩化ビニールライニング鋼管(SGP-VA・SGP-VB)あるいは水道用ステンレス管(SUS)に変化しています。
「赤水」問題は防食対策がされた配管材や配管継手が採用されるに伴い大きな問題にならなくなりました。現在は、銅ニッケル合金製のバルブ等の配管継手と鋼製配管とのネジ接合部分など―異種金属接合部分の金属腐食の問題が、築20年以上のマンションで問題になっています。
(給水配管の更生工法については、サンドライニング工法はじめさまざまな更生工法が現在まで開発され施工されていますが、建物の形状や配管の材料や施工の工法により、その建物に適する更生工法と適さない更生工法があり、またコストパフォーマンスの点からも、更生工法の実施自体も含め、長期的な観点からの検討が必要かと思われます。)

給湯配管

マンションの給湯設備のうち、給湯器(瞬間湯沸かし器、電気温水器等)→室内の各水廻りの蛇口をつなぐものが給湯配管になります。
給湯配管はすべてが専有部分になります。配管の材料としては、給湯用銅管(CUP)の時代が長く、現在の新築のマンションでは架橋ポリエチレン管を使用されることが主流となっています。
給湯配管の劣化の問題は、給湯用銅管(CUP)の曲がり継ぎ手(エルボ)部分の孔食(ピンホール)の発生による漏水事故が、築20年以上のマンションで多数報告されています。
給湯配管の更生工法は施工実績のある工法はまだありませんので、給湯配管については、取替―更新工事がテーマとなります。

雑排水配管

マンションの雑排水配管設備のうち、室内の各水廻りの排水口→敷地内の排水枡をつなぐものが雑排水配管になります。
このうち、室内の各水廻りの排水口より室内床下の雑排水横引き配管の部分が専有部分です。専有部分の雑排水配管について、以前より管理組合の管理部分と考えられるケースがありました。(床スラブ下に設備された雑排水配管の例)
今後も、管理組合の工事の対象にされることが増えていきそうです。
配管の材料としては、専有部分の雑排水配管は水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)と水道用塩化ビニール管(VP)が併用されています。
建築基準法から耐火材料の配管の使用が要請される箇所があり、その部分では水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)が使用されるため、専有部分の雑排水配管には水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)と水道用塩化ビニール管(VP)が混在しているケースがあります。
共用部分の雑排水配管は、建物内雑排水竪管及び敷地内埋設雑排水配管です。建物内雑排水竪管の配管材料は、鋳鉄管(CIP)・水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)からダクタイル鋳鉄管→耐火二層管―繊維補強モルタル二層管(FDPD)と変化しています。(排水用銅管(CUP)の例も有)
敷地内埋設雑排水配管の配管材料は、ヒューム管(コンクリート管)→塩化ビニール管(VP)と変化しています。
雑排水配管の劣化の問題は、専有部分については、専有部床下に設備されている水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)の金属腐食によるさびコブの成長あるいは減肉から起こる「詰まり」や「漏水」事故の発生です。また、築年数の経過による雑排水配管の勾配不良による「詰まり」の発生例も多数あります。建物個々の配管設備の特徴として問題点の現状を把握することが重要です。
敷地内埋設雑排水配管については、建物と建物の周囲の地面が長い年月でみると異なる「動き」をするため、建物とつながった埋設雑排水配管は勾配が水平や逆勾配になることがあります。また、排水枡と埋設雑排水配管が離れたり、コンクリート製排水枡が崩れたり、排水の障害になるケースがあります。
建築当時の都市計画の要請で敷地内に雑排水汚水調整水槽を設備しているマンションもあります。水槽の維持管理とともに、都市計画の変化により、調整水槽が現在では必要ない場合もありますので、定期的に確認されることも必要です。

汚水配管

マンションの汚水配管設備のうち、トイレ→敷地内の排水枡をつなぐものが汚水配管になります。このうち、専有部分の汚水配管は、トイレより専有部床下の汚水横引き配管です。
配管の材料としては、水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)と水道用塩化ビニール管(VP)が併用されています。
共用部分の汚水配管は、建物内汚水竪管及び敷地内埋設汚水配管です。建物内汚水竪管の配管材料は、鋳鉄管(CIP)・水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)からダクタイル鋳鉄管→耐火二層塩化ビニール管と変化しています。
標準的なマンションの排水設備では、汚水配管と雑排水配管は建物から出て最初の排水枡で合流するような形で設計されていますが、「単管方式」という施工工法を採用したマンションでは、汚水竪配管と雑排水竪配管を独立して設備せず、1本の排水竪管で兼用させて設備している例もあります。
汚水配管の劣化の問題は、トイレ床下の汚水横引き管と汚水竪管との合流継手の劣化で、鉛製継手を使用している、あるいは、ゴム製継ぎ手を使用している場合、継手の劣化から漏水事故の例があります。

通気管

マンションの配管通気設備としては、汚水竪配管と雑排水竪配管が最上階で伸長して屋上で大気に開口していたり、汚水竪配管と雑排水竪配管が一階床下で横引き排水配管になっている箇所で分岐して最上階まで別に伸長している配管が通気管です。
通気管はすべてが共用部分になります。配管の材料としては、水道用亜鉛めっき鋼管(SGP)と水道用塩化ビニール管(VP)が併用されています。
通気管の劣化の問題は、配管の金属腐食の進行による閉塞―流水障害あるいは破断―臭気の発生の問題があります。

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